混沌玩具#002 中村信博さん(60代) 大学教授

  • 良い意味で、頭の中に浮かんだイメージに近いように組み立てるという感覚が裏切られてしまいます。思い通りにいかずに、人間が支配できないところが面白くかんじました。
  • それぞれのパーツは磁石に引き寄せられたり反発しながら、わずかに自動的な力によって他のパーツに引き寄せたり、反発をはじめるので、そのパーツの自律性のような力を頼りに組み立て行為を楽しむことができました。
  • 磁石の仕掛けが効果的で、とくに反発力が発生するところに、くっつけて組み立てようとする当たり前の思考が裏切られるのだと感じました。
  • ひとりで遊んでいると、各パーツをくっつけたり離したりしながら、玩具とともに自分の中の物語を紡いでいるような錯覚をもちました。そのときに手にしたパーツと次にどのパーツをつなげるのか、そしてそれがうまくくっついてくれるか、どういう形状で落ち着くのかなど、無意識にストーリーをつくっていました。
  • したがって、最後にどのような形(秩序)を得るかと同時に、時系列を軸とした楽しみ方をもう少し意識できるようにされてもいいかもしれません。
  • 磁石(くっつきポイント)はカモフラージュされていても面白いかもしれません。そうなれば、パーツを手にしたときに、ふたつのパーツを手の感覚を頼りに試行錯誤しながら磁石の場所を見つけなければなりません。視覚情報に頼らない遊びを提案することができるのではないでしょうか。
  • 各パーツが無骨で、くっつけても重ねてもとてもまともな形になりそうもないところに共感しました。結果、出来上がったものには説明が必要になります。上に書いた「物語」とも関連するかもしれませんが、わたし自身は、意図しては決して生まれない妙な形を見ながら、その出来上がった形を自分に説明していることに気がつきました。その説明を共有できれば、遊び方はもっと拡がるかもしれません。
  • それはちょうど混沌と秩序との間をさまよい、歩いているような不思議な経験にもなるでしょう。